5節句(節供) 解説文


端午(たんご) 2023年 5月5日(金)

旧暦5月5日の称。
男の子の節句。
端午とは「初五」の意で、端は最初という意味で午は五と同音で同じ、つまり端午は、もともと月の初めの午(うま)の日のことをいい、毎月の上旬の5日の意味もありました。
特に5月5日をさすようになりましたが、古くは五月以外の月の5日にも使われていたようです。
中国では月と日の数が重なる日を祝日にする風習があり、5月5日を端午として祝うようになりました。
古来中国ではこの日、野に出て薬草を摘んだり、蓬(よもぎ)でつくった人形を家の戸口にかけたり、菖蒲(しょうぶ)酒を飲んだりして邪気を祓う行事が行われていました。
これが平安時代に日本へ伝わり、貴族からしだいに民間へと普及していきました。
日本では菖蒲や蓬を軒につるしたり、ちまきや柏餅を食べてお祝いをしました。
江戸時代以降は男子のいる家では鯉のぼりを立て、甲冑・刀武者人形などを飾って、子どもの成長を祝う行事になりました。
この日、菖蒲湯に入る地方も多く、菖蒲がまじないに使われたのは、これが昔から薬草であり、邪気・悪魔を祓って火災を除くと信じられていたからです。
もともと日本では、端午の節句は女の子のお祭りでした。
田植えが始まる前に、早乙女(さおとめ)と呼ばれる若い娘たちが「五月忌み」といって田の神のために仮小屋や神社などにこもって穢を祓い清めていたのです。
つまり、この日は、田の神に対する女性の厄払いの日だったのです。
5月の節句は、日本古来の「五月忌み」の習俗と、中国伝来の端午の節句が一緒になったものとみることができます。
江戸時代になるとこの日が五節句の一つである「端午の節句」に定められ、武者人形を家のなかで飾るようになり、また中国の「龍門に登って鯉が龍になった」という故事にあやかって、子どもの出世を願うために鯉のぼりを立てるようになりました。
5月5日は完全に男の子の節句になったのです。
ところで端午の節句には、ちまきや柏餅を食べる習慣があり、この日に、ちまきを食べるのは中国の伝説に由来しています。

古代中国、楚(そ)の詩人であった屈原(くつげん)が五月五日に川に身を投じて死んだことを人々が悲しみ、命日になると竹筒に米を入れて投げ入れていたところ、ある年、屈原の霊が現れて、「米を龍にとられるので、竹筒ではなくて、龍が嫌うチガヤの葉(ちまきをくるんだ葉、いまは、笹の葉で代用される)で包み、糸で結んでほしい」といった話が伝わって、この日にちまきが食べられるようになったとのことです。
また柏餅は、柏が新しい葉が生えないと古い葉が落ちないことから、跡継ぎが、絶えないとの願いが込められているともいわれています。
また、菖蒲は中国で武を重んずる「尚武」という言葉につながることから男子の節句になっていったようです。
ちなみに鯉のぼりの風習は、江戸時代以降の新しいものです。
今年の旧端午は6月22日(木)です。

こどもの日の解説もご覧下さい。