郵便関連の年中行事 解説文


ふみ月 ふみの日 2022年 7月23日(土)
ふみの日に寄せて

「ふみの日」をもつ珍しい国、日本。
「ふみ」とは、手紙のことです。
もっと手紙を書いて心を通わせ、互いに幸せを育てましょう。
という主旨から「ふみの日」が生れました。
1979年のことです。
当時の郵政省(現総務省)は、「手紙」の「ふみ」を「23」と語呂合わせして、毎月23日を「ふみの日」と決めました。
そして、実施する7月がちょうど和名の「文月」(ふみづき)でもあり、7月23日を「ふみ月 ふみの日」としたのです。
「手紙をもっと書きましょう」という記念日をもつ国なんて滅多にありません。
日本は、すてきな国ですね。
ところが・・・・

手紙を書かなくなるにつれて、社会が冷たくなった
1970年代、高度経済成長の時代とともに、日本人は毎日が忙しく物質的、金銭的に豊かになりました。
その反面、友だちや知人、離れて暮らす家族との間で、折りに触れて交わしていた便りを書かなくなっていました。
そして、バブル経済は崩壊し、人も社会もギクシャクしはじめ、やがて日本は現在のような、荒っぽく冷たい世の中になってしまったのです。
肥満が増え、心は栄養失調という不健康な社会です。

手紙は、人と人の思いや情感を確実につないでいたのですね。
心に温もりのあるコミュニケーションが通い、絆を結んでいました。
喜びや、悩みや、お悔やみや、感謝を伝えあい、分かち合い、人としての、世の中としての連帯感を保ってくれていました。
そう思われませんか?

もっと手紙を書きましょう
「人と人、人と自然のコミュニケーションのある豊かな社会づくり」をめざす私たちのNPOでは、早くから「ともいき暦」を考案し「手紙コミュニケーション」を提案してきました。
手紙を書くとき、人は相手の顔を思い浮かべています。
きっと、お互いの間のよい関係を願っているのでしょう。
その書き出しで、季節の表情に触れるのは素敵なことです。

太陽と月のリズムを味わい、二十四節気の自然を感じ、相手の人に気持ちをこめて手紙を書く。
豊かな気分になります。
それは、手紙というものが私たちにくれる恩恵だと思います。

手紙の功徳。いま風にいえばメリットですが
手紙をいただいたときの、ひと時を思い出してみましょう。
とくに手書き、それも万年筆や毛筆の便りは格別です。
①:封書なら、封筒を開けるまでのなんともいえない期待感。
きっと笑顔になっています。
そして、便せんを取り出すときの、あの喜び。
②:ハガキなら、文字を追いながら思い浮かぶ相手の顔や声。
いずれも電子メールやファクシミリでは味わえない喜びです。

この短い独特の「間(ま)」。この「間」こそ、人を豊かにする時間。
日本人が大切にしてきたお金で買えない価値、文化ではないでしょうか。
そして互いの間に温かいものが通い心豊かになります。
80円か50円で味わえる「幸せコミュニケーション」(至福)です。
そしてそれが、世の中に潤いと思いやりを広げていくと思います。

新しいご提案です
「賀春」、「頌春」という春を喜び感謝しあうハガキを交わしあう、新しい習慣を始めましょう。
春節という希望の季節感を味わいましょう。
※春節
旧元日。
立春からいちばん近い新月の日。
春を迎えたことを祝う。
ここから「迎春」「賀春」「頌春」などの言葉が生まれた。
いまでは新年と混同され、年賀状に多く用いられている。

日本には、季節の節目に送る手紙の習わしがありました。
「時候の挨拶」です。
体調の変化も起こしやすい季節の変わり目に人さまの健康などを思いやる、心やさしい便りです。
世界の人びとに自慢したい「手紙の文化」ではないでしょうか。


1:年賀状(新しい年を迎えての挨拶として)
2:寒中見舞い(寒の入りから節分[立春の前日]までの寒い時期に。服喪中は年賀状の代わりに出す)
3:余寒見舞い(節分以降、立春・雨水までに出す。迎える春の兆しをほのめかす)
4:暑中見舞い(梅雨明けを迎える小暑のころから立秋までに出す。立秋以降は暑くても残暑見舞いとする)
5:残暑見舞い(立秋以降、暑い季節に出す)


私たちは、とくに「春節(旧暦元日)」に注目しました
日本では、「自然」の季節感は旧暦とほぼ一致しています。
新年と春とはひと月近いズレがあります。
そこで春を迎える喜びを語り合う「賀春はがき」か「春節はがき」を旧暦元日に出すことを考えました。
新年を祝うのは「年賀はがき」、春を祝うのが「賀春はがき」というわけです。

効率と経済一点張りの時代は終わったと思います。
日本は新しい価値観での国づくりを考える時を迎えていると思います。
この日を“ともいきの日”と呼びます。
幸せを実感できる生き方を、市民自身が考える時代ではないでしょうか。
これは、その小さな、しかし、実際的な一案だと思います。

年賀状についての一考察 旧元日の解説もご覧下さい。


もっと手紙を書きましょう。書いて幸せを味わいましょう。
そして、世の中に思いやり、いたわり、優しさを広げましょう。